第8話「あなたに」

それから彼らは少しずつ活動を広め、単独ライブを満員御礼で大成功させた。
そして仲間もできた。

いまだに否定的な言葉を言われることはある。
いつまでも言われることなのだとも思う。
でも聴いてくれるあなたに今できる全力で歌うことを決めている彼らにとって今ではそれは何でもないことになった。

できないことも必ずできるようになる。

今までもそうだったし、これからも諦めることはしないから。
それにそんな言葉を浴びせられてしまうのは音楽を聴くことが目的ではない人がたくさん行きかう路上での演奏などでは仕方のないこと。

そんな演奏を聞いてくれる、応援してくれるあなたにこれからも歌いたい。
だからこそ自分たちのことを好きだと言ってもらえることを誇りに、もっと大きくなって聞いてくれるあなたに自慢してもらいたい。

今やマイクはボコボコでスピーカーは傷だらけ。
でもそこから出てきている音はこれからさらに必ず強いものになっていくから。
もちろんこれからやらねばならないことはこれからもどんどん増えるだろう。

でも。

「自分たちはまだまだです。」

そんな言葉を使うことはもう辞めた。
聴いてくれるあなたに今ここにある全ての技術と心で届くように歌うと決めたから。
誰よりも強い想いであなたに届けると約束する。

大阪出身兄弟弾き物語ユニット。

彼らの名前を「ゆる」という。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ別小説一覧

ページ上部へ戻る
Translate »