しかしその勢いは2015年あたりをピークに少しずつ落ち始めます。
高校生だった人は大学生になり、大学生たちは社会人になり、結婚する方、子供を授かる方。
当たり前ですが、時間が経つにつれてファンのみんなの生活は変わっていきます。

当時の僕は出会えたみんなと一緒に歳を重ねながら、その輪を少しずつ大きくしていき、目標としている大阪城ホールでのワンマンライブにたどり着けるのだと本気で夢を見ていました。

でもその全ての原因は僕らが支えてくれるファンのみんなに甘え、新しくたくさんの人に出会うための活動ができていなかったことでした。

少しずつ縮小していく活動に限界を感じ始めていたころに出会ったのがタイの音楽でした。

フォロワー数の増加に伴い、インフルエンサーと言っていただくことも増えていきましたが、僕の中にはこの世界への違和感がずっとありました。

それは数を増やすことと、誰かのためになるものが必ずしもイコールでは結ばれていないということ。
「見て意味のあった動画」よりも、「なぜか見てしまった動画」の方が評価されるような世界。

数字を伸ばさなくちゃ終わってしまうのに、伸ばそうとすればするほど、本当に自分を必要としてくれる人は減っていくような場所にいる。

そう感じるたびに日本でのストリートやライブハウスでの日々、そしてそこにいてくれたみんなの顔を思い出していました。

数字を追いかければ心が削られ、優しさを守れば数字をとることは難しくなる。

その矛盾の中で、自分がなぜ歌いたいのか、何を残したいのかを改めて考え続けました。

そしてこの矛盾と痛みを「世の中そんなもの」で終わらせないために、次のステージに進むために、この経験を同じ想いを抱える人の応援歌にしたいという想いにたどり着きました。