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第1話「友からの紹介」
大学生になった祐介・浩司、そして専門学校に通う隼の三人はいつものように集まっていた。
ピーク時間を過ぎたファミレスで、誰が言うこともなく注がれたジュースを飲みながらなんてことのない話を繰り返す。
この時間のファミレスは深夜料なる代金が10%プラスされる。
三人の中に忙しい奴などいない。
それなのにどうしてかこの時間に集まるのが普通になっていた。
時にお腹を抱えるほど笑い、時に言い争い、時に将来を語り合う。
隼(しゅん)にとってその時間は何にも代えられない楽しい時間であり、大切な時間になっていた。
店内には流行りの曲が流れている。
「この歌いいよな。」
その曲を聴き、祐介が話し出した。
「曲もいいけど声がいいもんな。」
隼がそれに答える。
耳を澄ませたまま祐介は靴を脱ぎ、足を椅子の上に乗せた。
それとほぼ同時にせき止めていた川が急に流れ出すように浩司が話し出した。
「というかさ。隼に紹介したい人がおるんやけど。」
「えっ俺に?」
その驚いたような返事は当たり前のように三人に昔を思い出させた。