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第1話「好きという気持ち」<大輔>
一緒にいて楽だとか、楽しいと思える気持ちよりも面倒くさい、自分と違う、そんな気持ちが勝ってしまうとダメになる。
恋愛はその繰り返し。
違うくらいがちょうど良いのに、別れはその「違い」から訪れる。
自分と完全に同じ人がいれば話は別だけど。
雨が降ればどれだけ遠くても君が濡れてしまうことを考えれば家まで送ってあげたいと思う。
君が夜景を見たいと言うのなら、夜景を前に微笑む君を見たいと思う。
嬉しそうにする顔や喜ぶ顔を見ていたい。
「好き」ならば誰でも思えること。
でもまた別れはやってきた。
それがどうしてかは簡単なこと。
嬉しそうにする顔や喜ぶ顔を見ていたいのは「自分のため」だったから。
その「自分のため」に相手が喜ぶことをしていただけだったから。
つまりは「自分のため」が結果的に「相手のため」だったというだけのこと。
そんな行動は「好き」という気持ちだけで支え続けるには重い。
だからいずれは必ず崩れ落ちる。
ずっと続いていく恋に出会うことは出来るのだろうか…。
恋をするたびに次の恋をするのが面倒になる。
わざわざそんなことする必要があるのだろうかと思わせられてしまう。
別れた帰り道、大輔(だいすけ)はそんなことを考えながら美保(みほ)の涙を頭に浮かべていた。