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第12話「美保のため」<大輔>
そうして始まった二人の付き合いだったが美保はどちらかというとアウトドア派で大輔はインドア派、という違いがあった。
基本的にどこかに出かけたいと言うのは美保で大輔は遠出や人込みというのがあまり好きではなかった。
でも大輔も美保が行きたいというのなら行きたいと思っていた。
そしてその日も美保が夜景を見に行きたいと話し始めた。
「おお、行こうか。
どこがいいんかな?
六甲山とか?」
「ちょっと待って、調べてみる。」
そう言って嬉しそうに携帯を取り出して調べ始める美保を見ながら、大輔は幸せを感じていた。
正直大輔は夜景になんて全く興味がなかった。
二度ほど友達に連れられて見に行ったこともあるし、家でゆっくりしてテレビでも見ているほうが楽しいんじゃないかとさえ思っていた。
でも「美保のため」なら何だってしてあげたい。
嬉しそうにしたり、喜ぶ顔を見ていたい。
そう思っていた。
同時に大輔は心配性で野菜をあまり食べない美保にもっと食べるようにとか、また明日と言って別れた後は家に着いたら必ず連絡するようにとか、というようなことまで美保のことを気にかけていた。
大輔にとってはそれらも「美保のため」だった。
「やっぱり六甲山が良さそうかな。
六甲山でいい?」
そう言う美保に大輔も笑顔で答える。
「全然ええよ。
よっしゃー!
ほんなら行こか。」
まだ車を持っていない二人は大輔の親の車を借りて、二人で夜景を見に向かった。
その時間は二人ともにとって楽しい時間だった。