小説一覧
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第7話「足りないものと欲ばかりが増える」
当時の彼らの演奏形態はギターを一人が弾いて、もう一人がマイクを手に持って歌うというものだった。その形態で演奏しているミュージシャンは数多くいて、彼らもその中の一組だったが一つだけ違うことがあった。
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第6話「始めたばかり」
少しずつ彼らは確実に上手くなっていった。すごくざっくりした言い方になってしまうが「上手くなっている」日々の経過とともにそう自分たちでも感じられた。地元を中心に活動を始めて半年が経とうとしていた。その頃では月に一回地元のライブハウスで定期的にライブを行うようにもなっていた。
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第5話「一人止まってくれた」
その初めてのライブから二日後彼らはもう一度路上ライブに挑戦することを決めた。場所はまた同じ地元の駅前。駅まで向かう車内で二人は一言も言葉を交わさなかった。変な緊張感が車内を埋め尽くした。何よりもすごく怖かった。
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第3話「大人になるということ」
幼い頃から歌手になりたいとだけ口にしてきて、今考えればそこには何の根拠もないし、可能性すらなかったが心のどこかで月日の流れはその夢を勝手に叶えてくれるものだと思っていた。月日が流れて大人になっていくということはそういうことだと思っていた。
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