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第8話「変わらないもの」
二年生になった隼たちはまた三人とも同じクラスだった。
「ほんま良かったな。みんな同じクラスになれて。」
「せやな。ほんま良かったわ。」
三人はいつものように集まってお弁当を食べていた。
「てか祐介、最近松井さんとどうなん?」
「どうって別にいい感じやで。」
浩司に祐介が少し照れくさそうに答えた。
二年生になって祐介には彼女が出来ていた。
一年生の頃から同じクラスだった松井さんに祐介から告白して付き合うことになった。
もちろんそのことは隼も知っていた。
「ええよなー。俺もほんまに彼女欲しいわー。隼は欲しいとか思わんの?てか誰がいいとかないん?」
黙って話を聞いていた隼に浩司が問いかけた。
「いや俺は全くそんなんないからな。まあ彼女は欲しいなくらいは思うけど。」
隼は当り前のように嘘をついた。
別にどうしても知られたくない深い理由があったわけではなかったが、言う必要なんてないと考えていた。
言ったところでどんな人なのか、どこで知り合ったのかだの聞かれるだけで面倒くさいだけなのだと。
「そうかー。まあ好きな人出来たら教えろよなー。」
「おお。」
一言だけ添えて隼はうなづいた。
三人はずっと一緒に行動していたので、祐介も浩司もまさか隼に彼女がいることなんて考えてもみなかった。
いるのなら言わないわけはないと考えていた。
祐介も浩司もそうしていたから。
もちろん祐介と浩司は隼も含めてお互いを信頼していた。
若さゆえに心のどこかで自分が一番だと考えていたことは祐介にも浩司にも当てはまる部分はあったかもしれないが、三人の仲は他では言えないことを言える関係だと考えていた。
「ほんならまた明日。」
そう言って三人はいつものように公園を出たところで隼は右へ、祐介と浩司は左へわかれた。